ハスキーボイスで酔わせて



そこに現れたのはいつも優しくて、
一番の味方でもある母親だ。


「ちょっと出かけてくる!」




そう言ってリビングを慌てて出ると…!




「彩!」

「ーーうわっ!」



玄関でばったり会った相手に、私は顔が引き攣り足が止まった。


「何処行くんだ、慌ただしい」



鋭い目つきでジロッと私を見下ろすのはあの父親。


白髪頭に髭姿、常に部屋着は甚平。

剣道歴四十年で全日本剣道連盟の組員でもあり、
範士八段というとてつもない強い腕前を持つ。