ハスキーボイスで酔わせて



「ありがとうございましたー」


コンビニから出た途端に夏の熱気が押し寄せてきて、思わず暑っ!と口走る。


コンビニの袋持ちながら、早速歩き煙草…。


「……」


目の前を歩いてきた幼い子供の手を引いて歩く母親。

その光景を見て、
俺は咥えた煙草を再び箱に戻して袋の中に戻した。



指で持つ煙草の視線と子供の視線が同じ高さだからだ。



楽しそうに歩く親子の姿を見て思わず口元を緩ませながら、
街の雑踏に紛れた。