ガッカリする私の横で、春樹さんが苦笑いしながらまぁまぁと宥めてくれる。 「とりあえずもう少し私は病院にいるから、貴方達は帰っていいわよ。旅行中悪かったわね」 母親が椅子から立ち上がって申し訳なさそうに話す。 それに私達も立ち上がって、わかった。と返した。 「橘さん…だったわよね」 「はい」 春樹さんを見つめる母親に、春樹さんの背筋がピンと伸びる。 「甘ったれで泣き虫な彩ですが、これからも仲良くしてあげて下さい。よろしくお願いします」 そう言って深々と頭を下げた。