その有無を言わせない迫力にうっ…と言葉が詰まる。
暫し数分の沈黙の時間が流れた後、
最初に言葉を発したのは諏訪さんだった。
「すみません、春さん。とりあえず今日は帰りますね」
諏訪さんは苦笑いしながらぽりぽりと頭をかきながら立ち上がる。
そしてそのまま玄関へ向かう相手に、
春樹さんは椅子にムスッとしたまま動こうとしない。
春樹さんの姿に迷ったが、私は玄関まで見送ろうとそのまま諏訪さんの後を追いかける。
「すみません、せっかく来てくれたのに」
「気にしないで彩ちゃん」
申し訳なさそうに謝る私に諏訪さんは笑ってくれる。


