「昔はすぐ近くに俺の実家があったんだけど、もう住む人もいないから取り壊されたんだ」 坂の上から二人で目の前に広がる大自然を眺める。 都会では見られない山々や生い茂った緑、 そして何より空気が澄んでいてとても美味しい。 「じゃご両親が亡くなってから東京に?」 「そう。親戚にたらい回しにされて、十六の時一人で東京に上京したんだ」 春樹さんの口から語られる壮絶な過去。 そして…私の知らない春樹さんの記憶。