「明かりを付けましょ雪洞に~♪」

どこからか楽しげな歌声が聞こえる。

そっと部屋から外を覗くと蝶と沙織が楽しそうに桃の花を眺めていた。

屯所の隅に一本だけある桃の花を咲かせる木。

「ああ、今日は桃の節句か。」

だからやたらと蝶ははしゃいでいたのか。

俺はそんなことを考えながら微笑む。

そして自分の机に戻り考える。

ここは男所帯の屯所だ。

雛人形なんてあるわけがない。

しかしせっかくの祭りだからなにかしてやりてえが・・・・

「どうすっかな。」

柄にもなく頬を突きながら考えていると誰かが襖を叩く。

「おい、土方さん、少しいいか?」

「原田か?ああ、かまわねえが。」

すると原田がそっと入ってくる。