俺は書き物をするため深夜まで起きていた。

蝶が私も起きてますと眠たそうな瞳で言ってきたので眠らせてから再開した。

「はあ・・・・」

ひと段落終え少し庭に出る。

するとどこからか話し声が聞こえてくる。

俺は話し声がする方に歩いていく。

「どうして総司はそんなに土方さんをからかうの?」

楽しそうな沙織の声が聞こえてくる。

どうやら総司と沙織が話しているようだった。

沖「んー特に深い理由はないんだけどね。あの人の反応が面白いからかな?」

俺はそんな理由でからかわれていたのかと思いため息をつく。

沙「だけど、ほかにも理由があるんでしょ?」

すると総司は少し困ったように微笑みをこぼす。

沖「まったく、沙織はなんでも見透かしちゃうから困るんだよねえ。うん。そうだよ。」

沙「それはなに?」

沖「僕はさ、蝶に助けられなければ今頃死んでたかもしれないんだ。」

総司は月を見上げながら言葉を紡ぐ。

沖「そしたらさ、急に怖くなったんだ。僕は今までなんの思い出をのこしてきたんだろうってね。」

沙「思い出?」

沖「うん。みんなとの思い出。まあ腐れ縁みたいな集まりだけど、少しくらいは思い出があった方がいいと思うんだ。」

そのことばを話す総司は俺が一番初めに出会ったころの笑顔だった。