夜中に目を覚ます。

「まだ明け方前か・・・・」

横を見ると愛おしい姿がある。

だけど、その瞳には涙が浮かんでいる。

「蝶?」

「おか・・・あ・・さま・・・おと・・・う・・さ・・ま・・・」

どうやら両親の夢をみているらしい。

俺はそっと涙を拭ってやる。

こいつは、両親を夢に見て泣いていた時が今までにもあったのだろうか?

「逢いたいよな。」

まだ蝶は16歳だ。

親元を離れてこの時代を選んだのだ。

寂しいに決まっている。

「どうしたらいいもんかなあ・・・・」

一度でいい。

蝶を両親に合わせることはできないだろうか?

だけど俺にはそんな力がない。

その力を持っているのは

「沙織か?」

強い霊力を持っている人間を俺はこいつ以外知らなかった。

「明日聞いてみるか。」

そう思い蝶の頭を撫でてもう一度眠りにつく。