俺は蝶の髪をなでる。

あのころの俺には何もなかったが

今は、守るものがあるのだと改めて認識する。

「んっ・・・・」

蝶が目を覚ます。

「あ、土方さん!!体調はいかがですか!?」

「ああ、だいぶ楽になった。」

「よかった。」

「すまねえな。ずっと看病しててくれたんだろ?」

「え、なんでそれを・・・」

「沙織が言ってたんだよ。」

「あっ・・・・」

なるほどという顔をする。

「そんなに俺が心配だったのか?」

「当り前じゃないですか。苦しそうにしている土方さんを見てたんですから。」

「なあ蝶。お前ずっと俺の手を握っててくれたのか?」

「え?」

俺がそういうと蝶ははっと自分の手を見る。

「あ、いや、これは、その・・・・」

しどろもどろに何かを言おうとする。

俺はそのまま蝶を抱き寄せる。

「ありがとうな。」

お前が居てくれるおかげで俺は道を見失わずに済む。