「蝶?」

「しー。」

声のする方を見ると沙織が自分の羽織を脱ぎ蝶にかけているところだった。

「ずっと、歳三の看病をしていたのよ。」

「ずっと?」

「ええ。よほど心配だったのね。片時も離れようとしないんだもの。」

そう言って妹を見るような瞳で蝶を見つめる。

「片時もか。」

「ええ。巡察はなにもなかったわ。仕事もすべて片づけておいたわ。だから今日は歳三もまた休みなさい。」

「ああ。すまねえな。」

「たまの休息でしょ。」

そう言って立ち上がる。

「歳三。」

「なんだ?」

「あなたを、闇から救うのはみんなと蝶よ。だから、その手を離しちゃだめよ。」

俺は驚き目を見張る。

「お前、なんで俺の夢を・・・」

「ふふっ。秘密よ。」

「ったく、本当にお前は秘密が多いな。」

「そうでもないわよ?おやすみなさい。」

ぱたんと襖を閉める。