「ったくわかったよ。」

このままじゃ蝶が泣きかねないので俺が折れる。

「いま沙織よんでくるのでおとなしく眠っていてくださいね?」

「ああ。」

俺は言われた通り布団に寝転がる。

正確に言えば体が動かなかった。

するとパタパタと足音が聞こえる。

「歳三。入るわよ?」

「ああ。」

沙織がそっと入ってくる。

そして俺の顔を触る。

「ああ、完璧に風邪ね。」

「ったく、らしくねえな。」

風邪なんていつぶりだろうか?

「疲れがたまっているのよ。最近特に忙しいからね。お薬持ってきてあげるから後で飲みなさい。今日は安静にしてなきゃだめよ?」

「わかってる。」

「今日の巡察は私に任せなさい。」

「だけどお前朝も昼も巡察だろ?夜も頼んじまったら大変じゃねえか?」

「構わないわよ。」

そう言ってにっこりと微笑む。

昔からいざっというときに頼りになるのがこいつだ。

「じゃあ私巡察行ってくるわね。お大事に。」

「ああ。」

そう言って沙織が出ていく。