誰でも、皆同じように、姫は愛される存在であった。


だからこそ、この場に墓を置いているのだ。姫が住む屋敷から近い場所――姫(愛する女神)に近い場所に置けば、死者の弔いにはいいと考えた。


愛するものに看取ってもらえ、更には自身の墓の前で毎日のように祈ってもらるだなんて、それだけで死への恐怖が薄くなる。


死んだあとでも、愛されると――


それを生者の詭弁とするならばそうすればいいが、少なくともこうした現場を見てしまった騎士には何も言葉が出なかった。


黄昏時。十字架。女神。

その組み合わせは神聖であると足を踏み入れることを迷う。けれども、女神(彼女)は人なんだ。


“墓場が似合う人”だなんて、それはまさしく。