ああ、でもとりあえずは。 「クロスたちに黙って、どこにも行きませんよ、私は」 だからどうか、そんな顔をしないでと願ってみせた。 「私はもう、一人にはなりたくありませんからね」 あんな思いはごめんだ、だって近くにこんな大切な人がいてくれるのだから。 「ありがとう」 ――ほら、ですから。 「ずっとそばにいてくださいね」 十字架の峠に風が吹く。 その風が運ぶ言葉がチャペルの鐘に触れて、福音を鳴らしていた――