黄昏時。
郊外に位置する丘上のチャペルは、屋敷から歩いてそれほどかからない場所にあった。


その場所に置いた意図は二つ、神聖であるならば人々の喧騒から離すべきであるとした静寂を求めた結果と、“彼ら”はきっと女神に愛されたいと願うだろうからとした気遣い。


チャペルの裏手には十字の連鎖。規則正しく、等間隔に植えられた灰色の十字架の台座には個々の名前が刻まれ、後の文には『愛すべき人よ、ここに眠る』と続く。


弔いの十字架。
死人に一番近い場所であり、十字架の峠。


人がもっとも忌むべき誰かの死の証であるその十字架は、こうして並べば見ていて不吉に感じられようが、場所と時間帯からして、やはりここも神聖には違いないと思えた。