「リンコ。穴ぼこだらけの牛筋のカタマリが、ココに隠れていたよ」

 ジェームスは、灰皿の隅から、爪楊枝の先で、コロッと弾き出した。

「ボクには、これ一つでお見通しなんだヨ」

 完全にペースを握られた倫子は、遅刻した上に、悠々とパスタを口に運ぶジェームスが食べ終わるまで、苦々しく眺めるしかなかった。



第二話 『ロンロンでパスタを』

完結