家族が寝静まったある夜、四才になったばかりの律子は、自分の家の洋式トイレに、鬼の形相で駆け込んだ。

 何が起こったのか? それは極めて単純なことだ。お腹を「壊した」のである。

 律子は大好きなアイスクリームを、冷蔵庫からこっそりと持ち出し、キッチンの床に座って、お腹いっぱい食べた。

 ファミリーサイズのアイスクリームは、幼い律子にとって、バケツを抱えているようなものであった。
 お腹を中からも外からも、冷やすことになった律子は、今、とにかくお腹が痛かった。