「唯嘉も、高校生になったのね…」 昨日から、何度目かのお母さんの言葉が耳をかすった。 『ああっ。本当に遅刻だっ』 玄関の足元に置かれているスクールバックを肩にかけると、勢い良く扉を開け放った。 『いってきますっ』 「いってらっしゃい、お母さん達も後から行くからね」 そんな和やかな家族の朝からの親子団欒の会話は、 ガチャんっ 扉が閉まった事によって、途切れた。