ハッとした。懐かしい言葉だった。

小さい頃によく言ってくれた。


『名前呼んで。そしたらどこにだって絶対助けにいく!!』


忘れたことがない…。


「…良樹?」


「もっと。」


「良樹っ…。」


「もう一回。」


「お願いっ…お願い私を助けてっ…!!良樹っ!!」


涙がまた溢れだした。


「もう泣くな、目開けろ。姫が探してるのはこれか…?」


王子が笑顔を浮かべた。

そして私の手のひらに何かを乗せた。


これ…


「私の熊…?」


いや違う…これは…。


「俺のだよ…これお前にやるから持っとけ。」


「私が無くしたから…!!悪いのは私。
だからここまでしなくて良いよ…。」


だってこれは…王子の大切な物。

でも……


「俺が持っとけって言ってんだから
素直に貰えよ。ピンフリ姫さんよ!?」


ニカッと笑う王子を見てると

大切にしなきゃって思えた。


「あっ…ありがとう…。ありがとう…良樹…。」


私は思いっきり笑顔を見せた。

すると…。


「ごめん…。姫…。」


そう一言言って、体を王子に引き寄せられた。

そして私はそのまま王子にキスされた。


時が止まったのかと思った。


「帰るぞ…。もう暗いし…。」


今が夜で良かったとすごく思った。


だって今、私の顔が真っ赤に

染まったのが自分でも分かったから…。