あの時以来、私たちは笑いあえなくなった。
だから、せめてこの熊だけは…
って思って持ってたのに……。
大きくなるうちに気持ちもすれ違って
遊ばなくなった。
だから家に上がったのだって2年ぶりだった…。
なのにどうして…こうなるの…。
「どうした…?」
座り込んだ私の手を誰かがしゃがんで握ってきた。
私は思わず上を向く。
そこには…
「王…子?何で…?」
「それはこっちの台詞。何で泣いてる!?」
部活中だったんだ…。
サッカー部の練習Tシャツを着て汗だくに
なってまで走ってきてくれたんだ…。
でも…迷惑はかけられない。
『何でもない』
そう言おうとしたときだった。
「名前!!」
「えっ…?」
途中で喋るのを邪魔された。
「俺の名前を呼べ。そしたら絶対にお前を助けてやる。」