「え…?これ?」


「さみぃだろ!?着てけ!!」


な…何でこういうときは優しくするのよ…

ワケわかんない…。

でも――――…


「ありがと…。」


「おぅ。じゃあ行くか…。」


「うん。」


私と王子は隣にならんで街灯の辺りを

ゆっくり歩く。


バカみたい…何で私、コイツの事一瞬でも

格好いいって思ったんだろう…。


「ねぇ…王子?」


「ん?」


「王子はきっとバレンタインチョコ…たくさん貰うんだろうね。」


「俺、好きな子以外貰わない事にしてんだ」


「アハハ…そうなんだ。」


それじゃあ私なんかと歩いてちゃ駄目じゃん。

好きな子に見られたらどうすんのよ!


「ここで良い。こっからは近いし1人で帰る。」


私は王子から離れてさっと前を行った。

すると王子は少し驚いたように


「は!?」


と言って私の背中を見ていたんだろう…


「じゃあね…。」


私は振り返らず走っていった。

だけど……


「待てっ…!!」