あの事件さえなければ……。


そして、兄ちゃんも……。


私はあの人のことは無視して自分の部屋に入った。


今日は男と一緒じゃなかったんだ。


こんな時のためにパン隠しててよかったなぁ。


賞味期限……大丈夫だ。


あの人が家に帰ってくるなんて珍しい。


半年に一回帰ってくるかこないかって感じなのに。


……今気づいたんだけど。


「これって、育児放棄?」


いや、一応生きてるけどさ。


もう一つ気づいた。


今まで、電気とか水道止まったことないよね?


一応お金は払ってくれてるんだ。


うーん。


あの人の考えてることなんかわからん。




私はパンを夕食にし、夜中にこっそり風呂に入って眠りについた。