漕ぐと、やはりあの時と同じ不快な音。
しばらく漕いでいたが、やはり頭が痛くなってきた。
「とりあえず……帰るか」
大きく揺らして、手を離して飛んだ。
すぐに足が地面に付き、軽い衝撃が走る。
足に少しの痺れがくるが、すぐにおさまった。
「……よし」
何がよしなのか分からないが、帰るとしよう。
「真田、青ちゃん?」
後ろから声をかけられる。
「え?
……わぁっ!!」
振り向いた瞬間、私に向かって何かが振り下ろされた。
しかし、ギリギリで回避。
雪に埋まったものを見る。
それは、金属バット。
あんなもん当たったら本当にヤバいぞ!
「あーあ。
はずしちゃった……」
金属バットを手に握りしめていたのは、一人の女。
圭一と櫂と同じ高校の制服を着ている。
こいつがあのストーカー女!?
「あんたさえ居なければ、私は圭一君と結ばれるのにっ!!」
やっぱりそうだああ!!
私はランドセルを降ろし、少しでも動きやすいようにした。
またも私に振り下ろされる金属バット。
今度は簡単に避けられた。
ただやみくもに振ってるだけだから、遅い。
「避けないでよ!」
避けるよバカァ!
これを避けずしてなにを避けるって言うんだ!

