家に入ってリビングに行くと、あの人がいた。


私の足音に気付いたのか、バッとこちらに振り返る。


そして、低い声で言った。


「帰ってこなければよかったものを……」


あの人の足元には。一人の見知らぬ男の人。


赤い水たまりの中に沈んでいる。


あの人の体も赤い。


右手には……


「殺 し た の ?」


赤く光るナイフが握られていた。