「俺さぁ……実はものすごく、弱いんだ……」
いきなりなにかと思ったが、鈴がうっすらと出ている月を見ながら切なそうな顔をしていたので、おとなしく聞くことにした。
「いつもは強がってるけど、本当はただの弱虫。
陰で隠れてるだけの、卑怯者なんだよ……」
鈴の頬が、少しずつ濡れていく。
なんで私に話したのか。
なんで今話したのか。
疑問は少しあったが、私はほほ笑んで言った。
「……知ってるよ」
鈴がこちらを見る。
私は気にせずに続ける。
「私、鈴がいつも隅っこで泣いてるの知ってる」
前に、何回か見た。
ものすごく悔しそうな顔をして涙を流していた。
私は、なにもできない。
だから、これだけは言わせてもらう。
「でも……。
たまには、私たちを頼れ」

