「ねぇ圭一……」
私はソファにだらしなく寝転がっている。
「んー?」
圭一は本に目を向けたまま返事だけをこちらによこした。
「圭一はさー。
霊……とかって信じる?」
圭一のほうに目を向けると、圭一はすでにこちらを見ていた。
「霊……って、幽霊とかのほうだよな?
俺は見たものしか信じないが、実際に見たって人はいるわけだし……。
まぁ、微妙なところだよなぁ。
俺は時と場合によっては信じるかもしれねぇな」
「私の頭の中をもっと曖昧にする答えをありがとう」
とりあえずお礼は言っておこうか。
「お、おぉ……」
わけのわからないというような返事をもらした圭一。
圭一はダメだ。
櫂……には聞きたくない。

