なにも違和感のない、ただのベンチ。
しかし、そこに姉ちゃんがいるのだという。
「ねぇ、名前、なんていうの?」
「んー?
ゆうひ みお!」
拳を作って上にあげた。
みおちゃんかぁ……。
「ここにいるのは、みおちゃんのお姉さん?」
先ほどみおちゃんが指差した方向を今度は私が指さして聞く。
「んーん。
ねえちゃはね、いつもしとりなの」
みおちゃんが悲しそうに言う。
しかし、すぐにぱっと表情が明るくなる。
「だからね!
みおがいっぱいお話してあげるのっ!」
残念ながら、私は霊感とやらはもちあわせていない。
今みおちゃんが見てるのは……非科学的な、いわゆる【霊】ってことになるのかな……
。
私が見えてないだけかもしれないけどね。
その後、みおちゃんは何もないベンチに向かって色々と話をしていた。
私は、ただ話を合わせることしかできなかった。

