夜桜へ行く道。
つけられてるのはなんとなく分かった。
足音が一つ多い。
後ろを振り返っても誰もいない。
貂瘤の奴か?
また人質にとられるのはごめんだ。
ややこしい道を通ってもしつこくついてくる。
たぶんだけど、5人くらいいると思う。
周りには誰もいない。
自分でなんとかしないといけないらしい。
普通の不良気取りだったら5人くらい余裕だが、今回は族に入ってる人。
噂になるくらいだから、少しは強いかもしれない。
喧嘩はなるべく避けたいし、今はランドセルを背負っている。
逃げるしかないか……。
幸いにも、このへんの裏道は全て知っている。
もうほとんど自分の家のようなものだ。

