俺は櫂のあの表情が頭から離れなくて、また会いたいと思ってた。
そしたら、偶然同じ学校だということを知った。
最初のうちは声をかけても無視されるだけだったんだが、だんだん話してくれるようになったんだ。
俺はあのときものすごくしつこかったからな。
結構仲良くなった頃、総長に櫂を紹介した。
総長は喜んで櫂を夜桜に入れた。
だけど、俺以外の人とは関わろうとせず、いつも部屋の隅でなにかして過ごしてた。
後のほうになると表情が増えてってみんなと仲良く過ごせるようになった。
「それで、今にいたる」
結構長く話しちゃったな……。
「櫂も、なにかと苦労してたんだね。
今の姿からは想像できないな」
「けど、今はあいつも色々と楽しんでると思う」
それから、青は何も言わずにただじっと櫂を見つめていた。
自分と重ねているのだろうか?
俺らは青の過去についてはまだ何も知らない。
自分から話してくれるまでずっとまってる。
あともう一つ。
これはただの予想に過ぎないが、青はまだ俺らのことを信用していないと思う。
信じるってことはそう簡単じゃない。
……俺もそうだったからな。

