「あいつらは何をやってんだ?」
圭一が私の後ろに立った。
「やっときたか補習さーん」
圭一は軽く苦笑いする。
「櫂が言ったのか。
なかなか離してくんねかったんだよ数学の鴫原め。
なんでいちいち語尾に[な]が付くんだ。
数えてたら一分間に46回ペースだったぞ」
圭一の話におもわず笑みがこぼれる。
「それで、あいつらは?」
圭一が櫂たちの方を指さす。
「私がちょっと面白いことをね……」
今度は私が櫂たちの方を指さす。
圭一は櫂のでこに貼ってある紙をみて、なんとなくわかったようだ。
「とうとうあいつも馬鹿だということを認めたか」
クククと笑う圭一。
「アハハ。
でも、櫂本人はあの紙に書いてある文字を[天才]だと思ってるから」
私はまた櫂たちの方を向いて小さく笑った。

