「それで、櫂の数学の点数は?」
聞くと、櫂はフフンと笑った。
「2点」
この言葉を聞いて、口を開くことさえしなっかった。
もうこんな奴に聞くのはやめよう。
これ以上聞いても無駄だ。
「俺のほうが上なんだぞ」
万面の笑みで言うんじゃない。
それ誇れない。
私はランドセルの仲から紙とペンを取り出して文字を書いた。
そして、それを瞬間接着剤で櫂のでこに貼る。
櫂のでこに貼ってある紙には大きな文字で【馬鹿】と書いてある。
ちゃんと漢字使ってやったぞ。
「今日一日それで過ごしてなさい」
ペンと接着剤をランドセルの中にしまいながら言った。
単純だけど、櫂にはこれが一番わかりやすいだろう。
「おーい、なんて書いたんだぁ?」
私は先程の櫂のようにフフンと笑った。
「天才って書いたんだよ」

