「さーちゃんは……夜桜だよね?」
千代子は私にしか聞こえないくらい小さな声で言い、ニヤリと笑った。
その笑いは、ふだんの千代子からは想像できないような笑みだった。
人を見下した、蔑みの目。
それに組み合わさった不気味な口元。
「私、知ってるよ。
さーちゃんが夜桜の人たちと仲いいの。
この前も海に行ったんでしょ?
いいよね。
流星は倉庫に集まっても宿題ばっかりだったよ」
一瞬千代子から目を逸らしてしまった。
目線をもとにもどすと、いつもどうりの千代子の笑顔。
「大丈夫。
流星の人たちはみんな喧嘩好きじゃないし、№1も狙ってないよ」
安心して、と私の肩を叩く。
「……なら、いいんだけど」
「あ、もうすぐ休み時間終わっちゃう!
自分の席に戻りましょー!
それと、私のことはチョコって呼んでね!」
千代……チョコは自分の席に戻っていった。
戻りましょうといわれても、今座ってるのが自分の席なんだけどなぁ。

