「そしたら海の親父さんに
見つかって‥話をして。
お茶しようかってなって…」
『え?葵、うちのお父さんと
会ったの?』
「そ。それで…なんか…
将来的にどうなりたいかって
聞かれて…一緒になりたい
って話したんだ。」
父の帰りが遅くなったのは、
葵と会ってたから───。
「ほんとは…こんな話、
全然するつもりなかった。
海にも言ってないし。
海のご両親には…
海の気持ちを聞いて、
もう少し、大人になってから
きちんと話に行く予定だった。」
葵は重なる二人の指輪に
そっと目を落とした。
「この指輪、本当にただの
ペアリングだったんだ。
いつか本物やるからって‥
そう、決め台詞つけて…さ。
俺の仕事上、いきなり結婚
ってのはちょっと難しい
かもしれないから…
婚約しようってゆう、
将来のことを見据えてさ。」

