催涙雨





『………え…?』



不思議に思い葵の顔を覗き込むと
目を細め見つめられた。



「さっき、送った。」



ええ?どっちなの?
と聞こうとした時
ふいに左手を握られて
違和感を感じた。



そっと握られた左手を見ると
そこには輝く星がひとつ。



『葵…これ……』



「まだ本物じゃないけど…」



本物じゃないって…



「それ、予約の予約。」



小さいけれど
輝かしい光を放つそれは
あたしには十分すぎる



「婚約の予約…
のはずだったんだけど」



『……?』



涙目で葵を見上げると
ふっと優しく微笑まれた。



「なんか…OKもらっちゃった」