なんでも屋 神…最終幕

ゆっくりとドアノブを回すと、電気の点いていない廊下に、室内から漏れてくる光りが少しずつ暗がりを切り取っていく。



室内に入ると、タバコの焦げ痕の中からスポンジが見えているソファに座り、間抜けな組員が此方に雑誌を向けていた。



辺りを見回してみても、同じような事務机が並んでいるだけで、他に人の気配は無い。



ドアの開いた音にも全く気付かず、熱心に風俗紙に見入っている組員との距離を一気に縮める。



流石にその足音には気付いたらしく、予想通りの間抜け顔を、雑誌をずらして俺の方に向ける。



何かが向かってくる事だけは感じ取り、反射的に避けようと身体を捻った時には、俺の向けた銃口がぴたりと後頭部に張り付いた。