マコのお袋さんは、止まらない涙を目元で押さえながら、微かに震える手でメモリースティックを俺に渡した。



手渡されたメモリースティック。



全ての真実がこの小さな物の中に刻まれているのだと思うと、鉄の塊を乗せられたように重く感じる。



左脇の差し込み口に差し込むと、パソコンの内部が凄まじい早さで読み込みを開始する音が聞こえてきた。



パスワード画面が映し出され、俺の手は無意識にマコと付き合った日付を打ち込んでいた。



俺とマコの間で暗号化出来るものなど、それぐらいしかない。



出て来たファイルには、マコが亡くなる一週間前の日付だけ。



人差し指をマウスに見立て、そのファイルを開く。



デジカメで撮られたと思える数枚の写真を見ていくと、俺の顔は漂白されたように青白くなり、言葉を失った…。