なんでも屋 神…最終幕

[赤とんぼ]の方は心配ないだろう。



お互い相手が誰だが分かった今、嫌がらせに時間を割いてる暇は無いはずだ。



俺を消すなら、黒沢一樹は音も無く行う。



その為に、定期的に紛争地帯へ子飼い連中を派遣しているのだ。



ベットに仰向けになり、幾ら耳を澄ましてみても物音一つしない家は、時の流れに取り残されたように感じる。



テーブルの上に手を伸ばし、タバコを取り出して火を付けた。



肺奥まで深く吸い込んだ煙を、天井に向けて吐き出す。



外の雨雲と違い、天井付近には、白い雲が立ちこめたように見えた。



俺はこれからどうしたら良いのだろう…。



イトさんの為に、何をしてあげられるのだろうか…。