なんでも屋 神…最終幕

ガラス張りの壁続きで、木製の枠に填められたドアを軽くノックしてみても、誰一人として俺の存在に気付く者は居ない。



仕方なくドアを開いて室内に入ると、古くなって湿気を含んだ独特な紙の臭いや、タバコの臭いが鼻を突いた。



黒縁メガネを脂で鼻先まで滑らせ、パソコンや書類と睨めっこしている、窓際のデスクに座る初老の男性。



周りを見渡してみても、他に該当者が見つからず、目星を付けたそのデスクに向かって歩いていく。



その途中で何人かの社員に会釈されたが、どうやらバイク便の人間と勘違いされているみたいだ。



奥に進んでいくと、廊下からは見えなかった奥行きが有り、右側には壁一面の書棚が置いてあった。