「…ちょっ、神君?酔ってるの?」



一葉に真美と同じ道を行かせる訳にはいかない。



この腕の中にあるものは、絶対に守ってみせる。



「…今回の依頼で、兄ぃの敵に回った…。」



徐々に力の籠もっていく両腕は、華奢な一葉の身体を今にも壊してしまいそう程だった。



「今回の依頼でって…なんで?どうして?だって…黒沢さんは神君が敵に回ったって知ってるの?。」



一葉と会った安堵感からか、さっきは必死に堪えていた兄ぃとの決別を表す涙が、ゆっくりと一筋だけ頬を伝っていく。