なんでも屋 神…最終幕

「…分かった。」



蚊の泣くような声を絞り出した俺の肩を、兄ぃは軽く二回叩くとドアに向かって歩き出した。



「あとで納得出来る金額を教えてくれ。」



様々な思い出が瞼のスクリーンに蘇り、今にも溢れそうな感情を抑えていたのは、途方もない怒りと絶望感だった。



「勘違いしてんなよ。今日限りで兄弟分は縁切りだ。俺はこの件から引き下がるつもりはない。」



萩の開いたドアの前で立ち止まった兄ぃは、俺が今まで見た事の無い、冷徹で酷薄な表情で振り返った。