なんでも屋 神…最終幕

施設裏の林の隙間を風が通り抜け、風に触れた葉がさわさわと揺られている。



その優しい音の中へ紛れ込むように、小枝の折れた音が耳を掠めた気がした…。



瞼を閉じ、大きく酸素を吸い込んだまま息を止め、五感の中から聴覚にだけ意識を集中させる。



音が止んだので、俺の聞き間違いかと思った時、また小枝の折れた音が聞こえてきた。



それはゆっくりと一歩ずつ足を踏み出しているように聞こえ、俺はベレッタを握りしめたまま立ち上がった。



コンクリートの上は、靴の裏を砂で擦らないように気を付け、ソール部分を優しく地面に乗せるようにして歩く。