なんでも屋 神…最終幕

口調はそれまでと変わらなかったが、こんな所に何の用が有るのかと眉を潜めた運転手に、料金を払ってタクシーを降りた。



陽の出ている時に人が集まる場所は、夜間になると、妙な不気味さが漂うのは学校や施設には付き物。



人の居る騒がしい様子を見ているから、余りの静けさと気配の無さに対するギャップが、恐ろしいと感じるのだ。



それさえ分かっていれば、恐怖心も少しは紛れてくれるし、正確に言うと、この場所には眠ってはいるが老人達が居る。



心許ないけど、今の心理状態なら頼もしくも感じられる。



人間が思い込みの強い動物で良かった。



暗闇に目が馴れ始めてきた頃、文字盤の所に蛍光塗料が塗られている腕時計に視線を移すと、十二時を少し過ぎたばかり。