「それと…申し訳ないが、依頼金は三十万程しか準備出来ていないんだ。足りなかったらなんとか工面はしてみるが…。」



その金が宇佐見さんの自腹だと言う事は、下げた視線でなんとなく感じ取る事が出来た。



今の日本に、自腹を切れる行政に携わる人間が、何人居るだろうか…。



それも公の場ではなく、こんな場所で…。



俺が依頼を受ける価値は、宇佐見さんが用意したと言った金額より、ずっと価値が有るように感じた。



選挙に当選するしないは、無知な俺にはどうする事も出来ないけれど、この依頼だけは解決したいと思う。



「宇佐見さんは選挙活動に力を入れて下さい。この施設に住む人の為、保育園の子供達の為にね。」