なんでも屋 神…最終幕

エコバッグに食材を詰めた主婦や、日向ぼっこでもするかのように、流れていく風景を眺めるお婆ちゃん。



外界を己の中から完全に閉め出し、参考書を食い入るように読み続ける、専門学生か大学生、または浪人生だろうか…。



そして俺の隣で吊革に掴まる、灰色のスーツを着て黒縁眼鏡をかけた小関さん。



穏やかな夏の日の午後。



その風景を眺めている一時だけ、珍しく雨の降ったあの日、三龍から告げられた言葉を忘れる事が出来た。



しかし、それは所詮裏社会での話し。



表社会にまで影響を及ぼすのは、少しのタイムラグが生じるものだ。



正義の使者なんてつもりは全く無い。



表か裏かと問われたなら、俺は限りなく裏に近いグレイゾーンに潜む人間。