適当に指を動かしてみる。 「すげー。なんでそんな弾けんの?」 あたしの指を見て、いつの間にかこっちに来ていた新堂が言う。 「なんでって……小さい頃から習ってるからね。練習すれば誰でも弾けるよ」 そう言いながらも、新堂がそんな風に褒めてくれたことに、心の中でちょっぴり嬉しくなるあたし。 「なんか弾いてみてよ」 「なんかって何よ」 「んー、なんでもいい」 そんな急に言われてもな…