「……え?ちょ……え?」



日本語もろくにしゃべれない。


いつの間にか新堂の足は止まっていて、物音の全くしないこの廊下に、あたしのパニクる声だけが虚しく響いて消えていく。



落ち着け、落ち着け愛乃……


自分に言い聞かせるように心の中で呟きながら、必死に頭の中を整理する。



「と、とりあえず……降ろして」



あたしのあまりにも早い心臓の音を、新堂に聞かれるのが嫌だった。