「ということは」
「祖母を刺し殺したとはとても言えませんでした」
「そうですか・・・そうですよね」
「考えてみれば、孫二人がこうしてこの石畳を
歩いているというのも不思議ですね」
二人はゆっくりと双橋の方角へ向かっていた。背が
高く優しい顔立ちの孔明は落着いた声で語り続ける。
「静江さんのおじいさんと私の祖母との出会いは、
ほんとに最悪の出会いでした」
静江は黙ってうなづく。
「しかし悪いのはあの時代。戦争というものが我々
人民と日本人民、共に被害者にしたのです。悪い
のは時の指導者とその思想であって、人民同士は
全く悪くありません」
静江は、私にはとてもそう割り切れないわ、
と思いつつも黙ってうなづいていた
「祖母を刺し殺したとはとても言えませんでした」
「そうですか・・・そうですよね」
「考えてみれば、孫二人がこうしてこの石畳を
歩いているというのも不思議ですね」
二人はゆっくりと双橋の方角へ向かっていた。背が
高く優しい顔立ちの孔明は落着いた声で語り続ける。
「静江さんのおじいさんと私の祖母との出会いは、
ほんとに最悪の出会いでした」
静江は黙ってうなづく。
「しかし悪いのはあの時代。戦争というものが我々
人民と日本人民、共に被害者にしたのです。悪い
のは時の指導者とその思想であって、人民同士は
全く悪くありません」
静江は、私にはとてもそう割り切れないわ、
と思いつつも黙ってうなづいていた



