静江の祖父が亡くなった。
今年30歳になる静江は一人娘の死後、
重度のうつ状態になり離婚して旅に出た。
中国の雲南省を中心に半年ほど、
何も考えずに大自然の中を歩き回った。
雪をいただく山々をボーっと眺めながら
素朴な人々と触れ合った。やっと傷が癒えて
実家にたどり着いた時、母の第一声は、
「おじいちゃんが亡くなった。もうすこし
早ければ、死に目に会えたのに」
母はそう言って古びた茶封筒を静江に
手渡した。表に毛筆で静江と書いてある。
「おじいちゃんから静江にだって。小さい頃
ずいぶん遊んでもらったからね。お前が孫達
の中で一番可愛がってもらえた」
今年30歳になる静江は一人娘の死後、
重度のうつ状態になり離婚して旅に出た。
中国の雲南省を中心に半年ほど、
何も考えずに大自然の中を歩き回った。
雪をいただく山々をボーっと眺めながら
素朴な人々と触れ合った。やっと傷が癒えて
実家にたどり着いた時、母の第一声は、
「おじいちゃんが亡くなった。もうすこし
早ければ、死に目に会えたのに」
母はそう言って古びた茶封筒を静江に
手渡した。表に毛筆で静江と書いてある。
「おじいちゃんから静江にだって。小さい頃
ずいぶん遊んでもらったからね。お前が孫達
の中で一番可愛がってもらえた」



