ナオとショウ

「手ごたえのねぇやつだ。」

ジャックはその場を去って行った。
またたく間に森は燃え尽きた。
残っているのは墨や燃えカスとなった草木と薄赤い光・・・バリアのようだ。
そのバリアに守られて、男は生きていた。

「あ…あれ?俺、生きてるのか?」

男は誰かに体を支えられていた。

「安心しろ。もう大丈夫だ。」
「君は・・・?」
「俺はショウ。全てを守る男だ。」
「ショウ・・・?守り手のショウか?なぜここに?」
「ちょっとこのあたりのお墓に用があるんだ。俺の・・・妹の墓だ。」

ショウはバリアを解いた。
そっと男の体から手を離す。

「気をつけて帰れよ。」

そう言い残して立ち去って行った。
男は黙ってただその背中を見つめていた。
やがてショウの姿は夜の闇の中に消えて行った。

ザッ!

不意にすぐ近くで足音がした。
男がギョッとして振り返ると、そこには少女が立っていた。
長い黒髪に深緑色のローブ。
手には特撮ヒーローに出てきそうな妙な大剣を持っている。
さっき森を見つめていた少女だ。
男は少女の目から殺気を感じた。
とっさに保護色で姿をくらます。

「サーモセンサー起動・・・。」

少女はそう呟いて剣のボタンを押した。
剣の刃が透き通り、サーモセンサーの画面になった。
少女は剣を縦に持ち、刃をかざして辺りを見渡した。


「・・・そこ!!」

男のいる位置をピンポイントに切り裂く。

「うわっ!」

男がよろめく。

「な、なんなんだお前は?」
「あたしはナオ。全てをたおすと誓った女だ!」


ナオは剣で襲い掛かる。
男は間一髪でそれを交わした。

「ナオ?まさか・・・ハンターのナオか?」
「だったら何?」
「聞いたことがある。俺たちの組織の人間を片っ端からたおしている女ハンターがいると・・・。何故なんだ?何故俺たちを狙う?」
「さっきも言ったでしょ?あたしは全てを倒すと。」
「俺も殺すのか…?」
「質問に答えてくれたら逃がしてあげてもいいわ。」
「質問?」
「ファクトリーはどこにあるの!?Dr.ガロンはどこにいるの!?」
「何故そんなことを・・・?」
「質問をしてるのはこっちよ。」
「悪いけど俺も知らない。知ってんだろ?組織に追われてるやつはみんな下っ端で、しかも裏切り者だけだって。」

ナオは歯軋りした。

「やっぱり…あんたも知らないのね。だったら死んでくれる?」
「え?」

ナオの剣がみるみる姿を変えていく。
やがてそれはバズーカになった。

「フルチャージ。」

ナオが引き金をひいた。

ドォォォォン!

激しいうなり声とともにエネルギー弾が男を襲った。
地面が50メートルほどえぐれた。
男の姿はあとかたもなく消えていた。
バズーカを剣に戻し、ナオは近くの切り株に腰掛けた。

「お父さん・・・、お母さん・・・。」