あのこになりたい

「みの虫…」


シュンは笑い転げた。



「何?何か用?」


私は目を細めて言った。



「顔見に来ただけ」


なんだよそれ…



「あ、そう。見たなら帰って」


私はみの虫のままベッドに転がった。



「なんか…病んでる?」


シュンがドアのところから聞く。



「別に…」


私は背を向けて答えた。



「咲。今日は花火大会だよ。浴衣とか着ないの?」


浴衣…


そういや綾は幸輔と行くんだっけ。



「嫌なこと思い出させないでよ」


私は枕をシュンに投げた。


「痛ーい!」


大袈裟にリアクションをとったシュンを無視して寝続けた。



「俺は家から花火見えるから家で見るけど…来る?」

シュンはそれを言いたかったのか…



「友達いないの?」


私はシュンをチラッと見て言った。