「空が、『咲ちゃん帰るまでケーキ食べれないから早く帰って』だって」


私が言うと、


「空、何のためのケーキかわかってんのかな」


シュンは笑いながら言った。



着信音が鳴った。


「もしもし…」


シュン小声で、


「まだだよ…わかったわかった…」


と急いで電話を切った。



「どうしたの?」


私が聞くと、


「いや、父さんから…なんかエールを送られた」


シュンが苦笑いして答えた。


「なんの?」


私はシュンを見たけど、


「さぁ」


とはぐらかされた。



「変なのー」


私はココアを飲み干した。


シュンの家族は、2年前転勤から帰って来た。


ひと駅むこうの住宅地に家を建てて暮らしている。